【帯広刑務所編】塀の中「倍返し」些細な恨みを買えば、血の粛清《懲役合計21年2カ月》
シャバとシャブと地獄の釜Vol.02
◼︎ボクが二級雑居房へ戻った理由
秋が過ぎ、またやって来た冬のある寒い朝。ボクは担当台の部長から呼ばれ、「サカハラ、雑居に戻ってくれないか」と言われて、以前いた雑居房とは別の二級雑居房へ入れられた。
ボクの入った雑居房には、部屋長の「赤いランドセルの松」がいた。この松は囲碁が上手で、よくボクと対戦したものだ。しかし、3回に1回しか勝てないボクは、負けてはよく悔しい思いをしてい た。
この頃の松は、仮釈放の面接がかかっていたが、大阪の保護協会からその受け入れを拒否されてい た。大阪で事件を起こしていたからだ。
その後も仮釈もらいたさに、全国の保護協会に受け入れを申し込んでいたが、卑劣で猥褻(わいせつ)な事件を起こした松のような性犯罪者はどこも簡単には受け入れてくれない。
もし受け入れて、その地域で未成年の児童が、松の被害者にでもなったら、大変なことになるからだ。だから、拒否するのが当然だった。
黒く歪んだ欲望の性衝動によって、幼い子どもたちが犠牲になっているこのような犯罪は決して社会では赦されない。寛容な神様であっても赦さないだろう。だから、面接はかかったものの満期の公算が強くなった松は〝蛇の生殺し〟といった感じで、長く感じる懲役の一日一日に苦しみ喘いでいた。
(『ヤクザとキリスト〜塀の中はワンダーランド〜つづく)
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2020年5月27日『塀の中のワンダーランド』
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絶望もがむしゃらに突き抜けた時、見えた希望の光!
「ヤクザとキリスト〜塀の中はワンダーランド〜」です。